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LOCAL IMPACT

日本全国の人、モノ、地域と媒体をつなぎ、それを目に見えるカタチするためのWEBマガジン。伝統工芸、ファッション、アート、デザイン、食.....地方の豊かで、美しいものすべて。

京都府、伊根町

今も漁業と寄り添う小さな集落

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日本三景の一つ、天橋立から車で30分のところに伊根町はある。伊根湾をぐるりと取り囲むように立ち並ぶ舟屋のランドスケープは、壮観で美しく、重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。伊根湾は日本海側には珍しく南側に開き、三方を山に囲まれた独特な地形。出入り口にある青島が防波堤の役割を果たし、年中穏やかで、潮の干満の差も少ない。その特徴を生かし、漁業が発展してきた。山と海はすぐ近くで、波打ち際を切り崩した平地に舟屋が建てられた。年中穏やかで、潮の干満の差が少ないこの湾では、その特徴を生かし漁業が発展してきた。舟屋の構造は独特で、一階が船のガレージ、漁具の格納や魚の干し場にもなっている。ここから船を出し、漁へと向かう。そのライフスタイルは世界でも類をみない。現在、230軒の舟屋があり、一番古い舟屋は江戸時代後期のものだという。

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まず訪ねてみたいのは、江戸時代から続く舟屋だ。蔵の目の前は、もうそのまま海。各舟屋前には「もんどり」という編みも仕掛けられ、朝になれば色々な魚がかかっていて、それが毎日の食卓のおかずになるという。舟屋の屋根はかつて草葺だったが、明治から切妻造りに変わっていった。海に向かって妻側を見せることで、統一感のとれた景観を維持している。全体が海側に前傾して、海から直接格納するため石敷きのスロープが設けられている。海水が2mほど入り込む構造だ。ここから海に船を押し出し、漁へと出かけていく。近頃は、船が大きくなって、舟屋の前に止められている場合も多いとか。鯨舟屋や江戸時代の舟屋などは、見ることができるので、観光協会のガイドさんなどに案内をお願いするのがおすすめ。

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浦島太郎伝説の発祥の地、浦島神社もすぐ近く。パワースポットなので、立ち寄ってみたい。

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伊根には魚屋がない。舟屋の宿の女将さんも近所の主婦も、みなバケツを持って、ここに「伊根漁港」へ買いにくる。伊根の朝の日常の光景だ。 実は一般の人も、この時間にここへ来れば、自分で魚を選び購入することが可能だ。「浜売り」というシステムだ。水揚げされたばかりのイカ、メバル、イワシ、サバ…旬の種類豊富な魚は、どれも新鮮で美しく、見ていて飽きない。好きなものをバケツにいれて、量り売りしてくれる。獲れた新鮮な魚は、誰でも買うことができ、地元人に紛れて買い物してみれば旅の気分がより盛り上がるはずだ。その新鮮な魚を心ゆくまで食すなら「道の駅 舟屋の里」内のお食事処「油屋」へ。新鮮なネタが山盛りの海鮮丼は、コストパフォーマンスも素晴らしく、わざわざ立ち寄ってみる価値がある。ボリューム満点。お腹をすかせて出向きたい。

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撮影(海鮮丼)=ナイキミキ

周辺約5㎞という小さな集落の伊根は、断然街歩きが楽しいのだが、舟屋は現在も生活の場として使われているので、見学には注意が必要。

問い合わせ先=伊根観光協会 ℡0772-32-0277

http://ine-kankou.jp/